消費税の計算方法
消費税とは、まさしく「消費」に対して、広く、公平に、負担を求める租税で、医療や福祉などの一部を除き、国内で行われるほぼすべての物品の販売、サービスの提供等及び保税地域から引き取られる外国貨物を課税の対象とされています。
消費税は、価格に上乗せされ、製造から卸へ、卸から小売りへ、小売りから消費者へと、順次先へ転嫁し、最終的には、すべて消費者が負担することを予定している租税であります。
このため消費税は、生産、流通の各段階で二重、三重に税が課されることのないよう、売上げに対する消費税額から仕入れ等に含まれている消費税額を控除し、税が累積しないような仕組みになっています。(前段階税額控除方式)
消費税の納付税額=課税期間中の課税売上に係る消費税額-課税期間中の課税仕入に係る消費税額

一取引で例えれば、上記のように、売上に係る消費税25万円から仕入に係る消費税20万円を差引いた5万円が納付すべき消費税額となります。
上記では5%表示しておりますが、実際の申告書作成過程においては、先に国税の計算を済まし、後に地方消費税を計算し、併せて一枚の申告書に記載を行うことになります。
また、仕入税額についても、場合により全額控除できない場合がありますのでイメージ図とは異なります。
課税期間 | 申告・納税すべき期間。個人事業者は暦年、法人は事業年度を計算の基礎とする。 課税期間の特例を選択することも可能。 |
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基準期間 | 個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度。 |
課税事業者 | 事業者のうち、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるもの。 「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となっているもの。 |
課税売上高 | 課税取引の消費税等を除いた売上金額 +輸出取引等の免税売上を加算し -売上返品等(消費税等を除く)の合計額を控除 |
消費税法の改正が行われ、下記のように消費税率の引上げが行われるようになりました。
~平成26年3月 | 平成26年4月~31年9月 | 平成31年10月 | |
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合計 | 5% | 8% | 10% |
内消費税率 | 4% | 6.3% | 7.8% |
内地方消費税率 | 1% | 1.7% | 2.2% |
課税対象
消費税の「課税対象」となる取引は、「国内」において「事業者」が行った「資産の譲渡等(国内取引)」と「保税地域」から引き取られる「外国貨物(輸入取引)」に限られます。
事業者 | 個人事業者及び法人をいう |
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資産の譲渡等 | 事業として対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び、役務の提供をいう |
課税資産の譲渡等 | 資産の譲渡等のうち、消費税を課さないこととされるもの(非課税取引)以外のものをいう |
このように取引内容で区分することにより、消費税の税額計算は複雑・煩雑となっています。
非課税取引 (消費税を課さない取引)
課税になじまない取引や社会政策的な配慮から、下記の取引については「非課税取引」とされています。
土地の譲渡及び貸付 | 物品切手等の譲渡 | 介護保険法の規定に基づく居宅サービス及び施設サービス等 | 身体障害者用物品の譲渡、貸付等 |
有価証券等の譲渡 | 国、地方公共団体等は法令に基づき徴収する手数料等に係る役務の提供 | 社会福祉事業等 | 学校、専修学校等の授業料、入学金、施設設備費等 |
利子を対価とする貸付金、保証料、保険料 | 国際郵便為替、国際郵便為替又は外国為替業務に係る役務の提供 | 医師、助産師等による助産に係る費用 | 教育用図書の譲渡 |
郵便切手類、印紙及び証紙の譲渡 | 公的な医療保障制度に係る療養、医療 | 埋葬に係る埋葬料、火葬に係る火葬料 | 住宅の貸付 |
この非課税取引があるため、下記、仕入税額控除の計算に影響を及ぼすことになります。
納税義務者
消費税の負担者は、商品等の消費やサービスの提供を受ける消費者となりますが、実際の申告納税は、次のとおり
納税義務者 | 国内取引 | 資産の譲渡を行う事業者 |
---|---|---|
輸入取引 | 課税貨物を保税地域から引取る者 |
全ての事業者ではなく、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、事務負担軽減のため免税事業者とされます。また、免税事業者の方は、あえて「課税事業選択届出書」を提出することにより、課税事業者となることも可能です。
(メリット 免税事業者の期間に大きな設備投資など行った場合、消費税の還付を受けることが可能。ただし、2年間は課税事業者となる)
個人事業者 (相続による事業継承の場合は特例あり) | |||||
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年分 | 前々年 平成14年 | 前年 平成15年 | 本年 平成16年 | 翌年 平成17年 | |
課税売上高 | 改正前 | 3,000万円超 | ⇒ | 課税事業者 | – |
3,000万円以下 | 免税事業者 | ||||
改正後 | – | 1,000万円超 | ⇒ | 課税事業者 | |
1,000万円以下 | 免税事業者 |
法人 (新設法人の特例に該当する場合には納税義務が免除されません) | |||||
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事業年度 (10月~は一例) |
前々事業年度 平成13年10月~ |
前事業年度 平成14年10月~ |
本事業年度 平成15年10月~ |
翌事業年度 平成16年10月~ |
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課税売上高 | 改正前 | 3,000万円超 | ⇒ | 課税事業者 | – |
3,000万円以下 | 免税事業者 | ||||
改正後 | – | 1,000万円超 | ⇒ | 課税事業者 | |
1,000万円以下 | 免税事業者 |
課税標準
税額計算の基礎となる金額をいい、これに税率を乗じて消費税額を求めます。税率は、国税の4%と地方消費税が1%の合計5%
課税標準 | 国内取引 | 課税資産の譲渡等の対価の額 (消費税額及び地方消費税額を除き、個別消費税は含む) |
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国内取引 | 課税対象外国貨物の引取価額 (関税課税価格+個別消費税額+関税額 附帯税の額を除く) |
国税の消費税に関する事項
課税標準額(千円単位)は①へ、4%の税額は②へ記載

地方消費税に関する事項は⑰番以降
地方消費税=国税の25%相当額の計算

当分の間、地方税消費税の賦課、徴収等の事務については国が行うとされ、申告書も同一様式にて作成することとなっています。
仕入控除税額の計算
仕入税額控除とは、課税売上に係る消費税額から差引くことができる控除税額のことで、本則課税制度を適用しているか、簡易課税制度を適用しているかで計算方法が異なります。
本則課税制度が原則となり、簡易課税制度を適用するには事前に届出が必要となります。

本則課税での仕入控除税額の計算
課税売上割合が95%以上であれば、 ⇒ 全額仕入税額控除
課税売上割合が95%未満であれば、 ⇒ 全額控除できず、2通りの方法で計算

課税売上割合とは


簡易課税での仕入控除税額の計算
単一事業のみ営む場合は、その営む事業に対応するみなし仕入率により計算
第1種事業 | 第2種事業 | 第3種事業 | 第4種事業 | 第5種事業 | 事業区分の概要 はこちらから |
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90% | 80% | 70% | 60% | 50% |
複数事業を営む場合は、下記チャートの流れのように計算を行います。
簡易課税によるためには、事前に「簡易課税制度選択届出書」の提出が必要となります。



