居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、商品等の先物取引をし、その取引に係る決済(※1)以下「差金等決済」という。)をした場合には、その先物取引による事業所得・譲渡所得・雑所得については、他の所得と区分し、その年中のその先物取引に係る雑所得等(※2)の金額に対し、15%の税率により所得税(地方税5%)が課されます。
※1 現引き等、その商品等の受渡しが行われることとなるものを除く。
※2 事業所得と譲渡所得及び雑所得
申告分離課税とされる | 対象先物取引 |
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商品先物取引 | 商品取引所法第2条に規定する「(商品)先物取引」 |
有価証券先物取引等 | 平成16年1月1日以後に行われる 証券取引法第2条第20項に規定する「有価証券先物取引」、 同上第21項に規定する「有価証券指数等先物取引」 及び同上第22項に規定する「有価証券オプション取引」 |
金融先物取引 | 平成17年7月1日以後に行われる 金融先物取引法第2条に規定する「金融先物取引」 |
上場カバーワラント (平成22年分追加) |
平成22年1月1日以後に行われる カバードワラントの差金等決済(金融商品取引所に上場・非上場カバードワラント) |
平成28年度税制改正について
次の取引が、平成28年10月1日以後取引より本制度である先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用除外とされました。
イ 商品先物取引業者以外の者を相手方として行う店頭商品デリバティブ取引
ロ 金融商品取引業者のうち第一種金融商品取引業を行う者以外の者又は登録金融機関以外の者を相手方として行う店頭デリバティブ取引
今まで申告分離課税制度の対象外であった「店頭取引」による取引が、平成23年度税制改正により、平成24年1月1日以後取引から本制度である先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象されました。
①所得金額の計算
=先物取引に係る事業所得の金額+先物取引に係る譲渡所得の金額+先物取引に係る雑所得の金額
②いずれかの所得が損失の場合
先物取引に係る事業所得・譲渡所得・雑所得のなかに赤字の金額がある場合、「赤字の金額」と「黒字の金額」の相殺し、残りの金額が先物取引に係る雑所得等の金額となります。
③同年中の他の所得との相殺
上記の場合で、なお、損失が生じる場合は、この「先物取引に係る雑所得等の損失の金額」を他の黒字の所得と相殺(「損益通算」といいます。)を行うことはできず、また、この所得が黒字で、他の所得の計算上生じた損失がある場合でも相殺はできません。
④この所得の繰越控除
上記の計算を行っても、控除しきれない損失が残る場合、その損失の金額を、その損失が生じた年の翌年以降3年以内の各年分の「先物取引に係る雑所得等の金額」から繰越控除をすることができます。
(御注意)
この繰越控除の制度は、上記表の対象先物取引の区分ごとに定められた取引分の損失の金額から対象となります。
平成29年分様式
下記の様式は、この先物取引に係る雑所得等の申告に使用される様式です。
Ⅰ先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
Ⅱ平成 年分の所得税の 申告書付表 (先物取引に係る繰越損失用)
の順に掲載をしております。
使用用途は
Ⅰの様式で、各年分のこの所得金額を確定させ、
Ⅱの様式で、前年以前からのこの所得の損失の繰越控除を行う場合や翌年以後に繰越控除を行う場合に使用します。
また、下記は、国税庁様式の各様式でありますが、当事務所では、この様式を自動計算ファイル(エクセル)として作成しております。このファイルは入力用フォームから入力を行うことにより、自動計算にて本様式を作成します。(Ⅰ及びⅡの様式は連動)
写しでありますので、当事務所ホームページ上では、この様式の操作を行うことができません。
なお、記載しております数字等はあくまで仮定のものです。
Ⅰ 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
記載例 X年分の先物取引の差金決済等の状況は下記のとおりであった。
商品先物取引のみ、かつ、差金決済のみ。 トータルで 1,896,550円の利益があった。
Ⅱ 平成 年分の所得税の 申告書付表 (先物取引に係る繰越損失用)
記載例 3年前の同所得の損失が 100,000円、2年前の同所得の損失が 200,000円、前年の同所得の損失が 300,000円の場合、繰越控除の合計 60万円を本年分の黒字の 1,896,550円から差し引くと損失金額すべて控除され、翌年以降に繰り越す金額はありません。
繰越の結果、本年分の先物取引に係る雑所得等の金額は 1,296,550円。
所得税の申告書第三表への記載例・・・掲載省略しております