相続時精算課税制度

平成15年度の税制改正で創設された相続時精算課税の制度は、平成19年度の税制改正により加えられた「特定同族株式等に係る相続時精算課税制度の特例」を含め、3本立てとなっています。

(一般の)相続時精算課税制度の背景

例年、基礎控除以下か若干上回る金額にての贈与では、資産移転に長期間を要し、また、配偶者控除以外に贈与税には大型贈与を認める制度がありませんでした。

また、高齢化の進展により相続による資産移転の時期が、以前にもまして遅く、高齢者の保有資産を早期に次世代に移転させ、経済社会の活性化を図ろうと、相続開始を待たずしての生前贈与による資産移転の円滑化を目的として、本制度は創設されることになりました。

制度の内容

相続時精算課税制度を選択した贈与税申告の際には、これに係る贈与税を納税し(当然0の場合もあります)、相続発生時の相続税の課税価格には、上記贈与の財産価格を加算を行いますが、相続時精算課税制度における贈与税は控除する申告方法であります。

贈与を受けた財産も、相続財産として「持ち戻し」、相続税・贈与をと通じて一体課税を行おうとする制度。

本制度を適用しますと、同一贈与者からの暦年単位による贈与税の課税方式(暦年課税)には戻れませんので、十分検討を行ってから本制度の選択をされますように。

贈与時に本制度における贈与税を納付

    

相続発生時に、本制度における贈与により取得した財産の価額を相続財産に加算+相続時点の相続又は遺贈により取得した財産の価額=これを課税価格として計算した相続税額−既に納付した本制度における贈与税に相当する金額を控除

相続税申告の際に使用する相続税申告書第11の2表はこちらか

特例の対象者

受贈者(特定受贈者)=財産をもらった人 贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者

贈与者(特定贈与者)=財産を譲った人 贈与をした年の1月1日において65歳以上である者

受贈者ごとに「本特例」を適用するか否かを選択できます。受贈者は、贈与者ごとに「本特例」を適用するか否かを選択できます。

相続時精算課税の対象者

適用対象となる財産等

贈与財産の種類(金銭や物、贈与によって取得したものとみなされる財産を含む。)、贈与財産の金額、贈与を受ける回数については制限が設けられていません。

申告手続

  1. 贈与税の申告書第1表及び第2表
  2. 相続時精算課税選択届出書(初年度のみ、添付種類とともに)

本制度の適用を受けようとする受贈者は、贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」(贈与者ごとに作成が必要)を贈与税の申告書に添付して、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

贈与税の申告期間内・・・通常は贈与を受けた年の翌年の確定申告期限内(2月1日〜3月15日)

同一年分に暦年課税の贈与がある場合は、この贈与税の計算は別に行うことになりますが、申告は本特例分とまとめてを行うことになります。

注)提出された当該届出書は撤回することができません。
 この届出書に係る年分以降、特定贈与者(当該届出に係る贈与者)からの贈与により取得する財産については、すべて本制度の適用を受けることになります。

課税価格

特定贈与者ごとに、その年中において贈与により取得した財産の価額を合計し、それぞれの合計額をもって、贈与税の課税価格とします。

特別控除額

特定贈与者ごとの贈与税の課税価格から、それぞれ次に掲げる金額のうち、いずれか低い金額を控除されます。
(1) 2,500万円(既にこの特別控除を適用した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
(2)特定贈与者ごとの贈与税の課税価格

なお、この控除額は累積2,500万円となります。相続時精算課税の特別控除

税率

特定贈与者ごとに計算した贈与税の課税価格(特別控除額を控除した金額)にそれぞれ20%の税率

特定贈与者ごとに計算した贈与により取得した財産の価額 − 特別控除額 = 特別控除額控除後の課税価格

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住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例

この特例は、新たに創設された上記の制度にあわせ、住宅取得促進を図る観点から設けられた制度であります。相続税・贈与税一体課税の基本構造は同じとなりますが、適用時期、特例の対象者、特別控除額の金額などが異なります。

特例の適用期間

平成15年1月1日〜平成21年12月31日の贈与

特例の対象者

受贈者(特定受贈者)=財産をもらった人 贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者

贈与者(特定贈与者)=財産を譲った人 年齢要件がありません。贈与をした年の1月1日において65歳未満である者でも、この特例を選択可

適用対象となる財産等

原則的な相続時精算課税制度は、財産の種類金額回数に制限がありませでしたが、住宅の取得等の対価に充てるための金銭に限られます。

住宅用家屋の新築若しくは建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得(土地等の取得を含む)
既存住宅用家屋の取得(土地等の取得を含む)
居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築等

申告手続

上記(一般)と同様です。

課税価格

上記(一般)と同様です。

特別控除額

(一般)相続時精算課税制度の特別控除額とは別枠で住宅資金特別控除額として、1,000万円があります。

税率

上記(一般)と同様です。

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特定同族株式等に係る相続時精算課税制度の特例

従前からも同族株式等に関する特例措置としては、特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例(措法第69条の5)がありました。

しかし、中小企業の事業承継への早期取り組みが認識されだしたのでしょうか、本特例が相続開始前の特例措置として創設されました。ただし、時限立法です。

特例の適用期間

平成19年1月1日〜平成20年12月31日の贈与

特例の対象者

受贈者(特定受贈者)=財産をもらった人 贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者

贈与者(特定贈与者)=財産を譲った人 贈与をした年の1月1日において60歳以上である者(既に住宅取得資金の贈与により相続時精算課税を選択している場合は年齢要件なし)

適用対象となる財産等

原則的な相続時精算課税制度は、財産の種類金額回数に制限がありませでしたが、特定同族株式等の贈与に限られます。

この特定同族株式等に該当する要件は、次のとおり厳格であり、

特定同族株式等の受贈価額要件合計額500万円以上
特定贈与者要件60歳以上
特定同族法人の代表者
発行済み株式等の50%超保有している
議決権の50%超を有する
特定受贈者要件20歳以上の直系卑属である推定相続人
株式等を受けた12月31日時点で役員であること
特定同族株式等要件議決権の制限がなく、市場に上場等さえていないこと
特定同族法人要件代表者が2人以上いないこと
清算中の法人でないこと
発行済み株式等の総数に相当する金額等が20億円未満
推定相続人全員の同意この特例を受けることに付き推定相続人全員の同意が必要

その後、下記のとおり「確認書」の提出を求められます。

申告手続

上記(一般)と同様です。が、本制度を選択した翌年3月15日から4年を経過した日(確認日)から2ヶ月以内に「確認書」を提出する必要があります。詳細は割愛させて頂きます。

課税価格

上記(一般)と同様です。

特別控除額

(一般)相続時精算課税制度の特別控除額とは別枠で特定同族株式等の特別控除額として、500万円があります。

税率

上記(一般)と同様です。

他の相続税の特例との関係

特定贈与者の相続が開始した場合の相続税計算上、「小規模宅地等の相続税課税価格の計算の特例」、「特定事業用資産の相続税課税価格の計算の特例」の適用ありませんので、本特例を適用するには、十分検討する必要があると思われます。

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最終更新 平成20年7月

贈与税