この制度は、経済危機対策関係の改正事項のなか、住宅取得等のための贈与税の軽減(生前贈与の促進により高齢者の資産を活用した需要の創出)として、法律案が平成21年6月19日に可決・成立し、6月26日に公布・施行されたものです。
制度の概要は、
- 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、
- 直系尊属(父母、祖父母、養父母等)からの贈与により住宅用家屋の新築等に充てるための金銭の取得をした、
- 一定の要件に該当する受贈者(「特定受贈者」)が、
- 住宅用家屋の新築、取得又は増改築等についての要件を満たす場合には、
- その贈与により取得をした住宅取得等資金のうち500万円までの金額については、
贈与税の課税価格に算入しない、つまり非課税とするというものです。
受贈者自身の居住に供するための住宅の取得資金に係る贈与税の軽減措置であり、期間が定められた時限立法となっています。
特定受贈者の範囲
① 住宅取得等資金の贈与をした者がその者の直系尊属であること。
② 贈与により住宅取得等資金を取得した時において国内に住所を有する者、又は日本国籍を有する者で贈与により住宅取得等資金を取得した時において国内に住所を有しない者(受贈者又は贈与者が贈与の日前5年以内に国内に住所を有したことがある場合に限ります。)であること。
③ 住宅取得等資金の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
④ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
⑤ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、又は同日以後遅滞なく居住することが確実であること。
以上の要件をすべて満たす者。
住宅取得等資金の範囲
① 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得
② 既存住宅用家屋の取得
③ 増改築等
以上の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭。
対象となる住宅の範囲
① 住宅用家屋の新築等
・床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供されるもの。
・国内にあること。
・1棟の家屋で床面積が50㎡以上。区分所有建物である場合には、専有部分の床面積が50㎡以上。
②既存住宅用家屋の取得
・上記の範囲と同様
・耐火建築物の場合 次のいずれかの要件
建築後25年以内。
建築基準法施行令第3章等の規定又は関係大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するもの。
・耐火建築物以外の建築物の場合 次のいずれかの要件
建築後20年以内。
建築基準法施行令第3章等の規定又は関係大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するもの。
③ 増改築等
・国内で行われる工事で。
・工事費用の額が、100万円以上。
・工事をした家屋が、主としてその居住の用に供するものであると認められるもの。
・増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替など。
・工事をした家屋が、居住の用以外にも供する場合は、居住の用に供する部分の工事費用が全体の額の2分の1以上であること。
・工事をした家屋が、1棟の家屋で床面積が50㎡以上、区分所有建物の場合は、専有部分の床面積が50㎡以上であること。
申告要件
この特例は、贈与税の期限内申告書に、その適用を受けようとする旨を記載し、計算の明細書・必要書類等を添付した場合に限り適用されますので、期限や書類には注意が必要です。
贈与税の特例との重複適用
この住宅取得等資金の非課税制度の特例は、
●暦年課税の基礎控除、
●相続時精算課税の特別控除、
●特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例、又は住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例
と併せて適用が可能とされています。
住宅取得等資金の贈与者が死亡した場合
通常の場合、被相続人から贈与により取得した財産の価額は、その被相続人に係る相続税の課税価格に加算等されるのが原則ですが、この特例を適用した住宅取得等資金の金額は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入されません。
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