平成21年分以降の住宅借入金等特別控除などの住宅税制 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

住宅借入金等特別控除などの住宅税制の概要

このページは、平成21年度以後の税制改正による住宅税制につていの記述であります。
 改正により、従前までの制度と比べ大幅に拡充され、借入金で住宅を取得等する場合に加え、自己資金にて取得する場合にまで、新たに税額控除制度が創設されています。

また、個人住民税においても住宅借入金等特別税額控除制度が創設されています。

平成21年分からは、下図のような制度が併存することになり、大変複雑なものとなっています。

平成21年分改正前の所得税関係住宅税制の解説はこちらから

住宅借入金等特別控除制度の適用期限の延長
 改正前は適用期限が平成20年12月31日までとされていた同制度が、平成25年12月31日まで5年延長され、控除率・控除限度額の変更がさなれています。

東日本大震災による震災税特法が創設されていますが、詳細は割愛させて頂きます。

認定長期優良住宅の新築等を行った場合の住宅借入金等特別控除の特例の創設
 認定長期優良住宅の新築等をして長期優良住宅法の施行日(平成21年6月4日)から平成25年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合において、長期優良住宅借入金等を有するときは、上記の税額控除との選択により、控除を受けることになります。

平成24年度税制改正により「認定低炭素住宅に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例」が創設され、平成24年又は平成25年に居住の用に供した場合、この特例の控除を受けることになりました。控除額の計算は、一般の住宅借入金等特別控除制度の計算に上乗せするような形となりますが、認定長期優良住宅の計算と同様になります。

認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除(認定長期優良住宅新築等特別税額控除)の創設
 上記と同一の住宅の取得ではあるが、こちらの制度は、住宅借入金等がなく自己資金にて新築等をされた方でも税額控除が受けることができます。ただし、居住年のみの適用となります。

既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除(住宅特定改修特別税額控除)の創設
 住宅借入金等を組まずに省エネ及びバリアフリー改修を行う場合にも特例的に税額控除の対象とされました。

住宅取得別の特例の態様

住宅取得の税制

住宅取得や増改築などの別や借入金の有無により、適用できる特例・選択可能な特例が分かれています。

住宅税制関連特別控除額の計算明細書 各様式一覧
使用する計算明細書の種類 26年 25年 24年 23年 22年 21年 20年 19年 18年
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除 様式 様式 様式 様式 様式 様式 様式 様式 様式 従来からの制度
認定長期優良住宅新築等特別税額控除額 様式 様式 様式 様式 様式 様式 平成21年創設
住宅特定改修特別税額控除額 様式 様式 様式 様式 様式 様式 平成21年創設
住宅耐震改修特別控除額 様式 様式 様式 様式 様式 様式 様式(改訂なし) 平成18年創設

平成17年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の様式は、一覧から除いておりますが、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の各年分様式から移動していただけます。

住宅関連税制

●住み替えのため、従前の居住用財産を譲渡され、譲渡損失が生じている方の特例はこちらから

居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法第41条の5)
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41条の5の2)

●確定申告以後の年分で、給与所得者の方が年末調整にて、この控除を受けるため使用する、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書はこちらから (平成26年分年末調整にて使用)

御注意 下記に各制度の要件等を記載しておりますが、紙幅の関係で、抜粋のみの掲載とさせて頂きます。現時点では、添付書類については掲載省略しており、また、再入居の場合の記述は割愛させて頂きます。
 実際の適用においては法令等をご確認頂くようお願い致します。

●平成23年税制改正により、住宅借入金等特別控除をはじめとする類似する住宅税制について、補助金等の交付がある場合における計算欄が追加するなどの改正(様式改訂)がなされています。

住宅借入金等特別控除などの特例の適用要件

住宅借入金等特別控除

住宅借入金等特別控除の控除額の特例及び認定長期優良住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例

控除期間 10年間若しくは15年間
家屋及び増改築等の要件 ① 新築又は新築住宅の取得をした場合
イ 住宅の取得等又は認定長期優良住宅の新築等の日から6ヶ月以内に居住の用に供していること
ロ 居住日以後その年の12月31日まで引き続き居住の用に供していること
ハ 家屋の床面積が50㎡以上であること
ニ 床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること
ホ 住宅の取得等又は認定長期優良住宅の新築等に係る住宅借入金等を有していること
へ 認定長期優良住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例を適用する場合は、認定長期優良住宅であると証明されたものであること
② 既存住宅を取得した場合
イ ①のロからニの要件に当てはまること
ロ 住宅の取得等の日から6ヶ月以内に居住の用に供していること
ハ 住宅の取得等に係る住宅借入金等を有していること
ニ その家屋の取得の日以前20年以内(耐火建物の場合は25年以内)に建築されたもの又は 取得の日前2年以内に地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準等に適合する建物(平成17年4月1日以後に取得した場合に限ります。)であると証明されたものであること
ホ 建築後使用されたことのある家屋であること
③ 増改築等をした場合
イ 自己の所有している家屋で自己の居住の用に供するものについて行う増改築等であること(平成20年12月31日までに居住の用に供した場合は、自己の居住の用に供している家屋について行う増改築等に限ります。)
ロ 増改築等をした後の家屋の床面積が50㎡以上で、①のロ及びニの要件に当てはまること
ハ 住宅の取得等の日から6ヶ月以内に居住の用に供していること
ニ 住宅の取得等に係る住宅借入金等を有していること
ホ (イ)から(ヘ)のいずれかに該当する工事で(イ)から(ヘ)に該当することについて、一定の証明がされたものであること
(イ) 増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替えの工事 (ロ) 区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕又は模様替えの工事 (ハ) 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替えの工事 (ニ) 地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕又は模様替えの工事 (ホ) 一定のバリアフリー改修工事 (ヘ) 一定の省エネ改修工事
ヘ 増改築等の工事費用が100万円を超えるものであること
ト 自己の居住の用に供される部分の工事費用の額が、増改築等の工事費用の総額の2分の1以上であること
住宅借入金等の要件 ・償還期間等が10年以上の割賦償還等の方法によるものであること
・住宅の取得等及び認定長期優良住宅の新築等に要する資金並びにこれらの家屋とともに取得したその家屋の敷地等の取得に要する資金に充てるために借り入れたものであること ※ 家屋の敷地に係る借入金等については、住宅の取得等(増改築等を除きます。)又は認定長期優良住宅の新築等に要する資金に充てるための住宅借入金等を有している必要があります。
※ 無利息又は著しく低い金利による利息であるものとなる場合の借入金等は含まれません。

特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除の特例

高齢者等居住改修工事等に係る制度と断熱改修工事等に係る制度

控除期間 5年間
控除を受けられる人の要件 ・特定居住者 ・居住者
対象となる増改築等 ① 高齢者等居住改修工事等
イ 廊下の拡幅
ロ 階段の勾配の緩和
ハ 浴室改良
ニ 便所改良
ホ 手すりの設置
ヘ 屋内の段差の解消
ト 引き戸への取替え工事
チ 床表面の滑り止め化 (平成19年国土交通省告示第407号)
② 高齢者等居住改修工事等と併せて行う一定の修繕・模様替えの工事
① 断熱改修工事等 次の工事で(A)及び(B)の要件を満たすもの
イ 居室の全ての窓の改修工事
ロ 床の断熱工事など
(A) 改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
(B) 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であるもの
※ 平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、(B)の要件を満たさないものも断熱改修工事等の対象となります(平成20年国土交通省告示第513 号(最終改正平成21年国土交通省告示第380号))。
② 特定断熱改修工事等 断熱改修工事等のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事
③ ①又は②の工事と併せて行う一定の修繕・模様替えの工事
金額基準 高齢者等居住改修工事等に要した費用の額(補助金等の額を差し引いた金額)が30万円を超えること 断熱改修工事等又は特定断熱改修工事等の費用の額が30万円を超えること
増改築等住宅借入金等の要件 償還期間等が5年以上の割賦償還等の方法によるものであること
住宅の増改築等に要する資金に充てるために借り入れたもの

住宅耐震改修特別控除

控除の対象となる主な要件 ・住宅耐震改修のための一定の事業を定めた計画の区域内の家屋であること ※ 平成21年1月1日より適用対象区域が拡大されています。
・自己の居住の用に供する家屋であること
・昭和56年5月31日以前の耐震基準により建築された家屋で、現行の耐震基準に適合していないものであること
・現行の耐震基準に適合させるための耐震改修であること

住宅特定改修特別税額控除

特定居住者の場合の制度と特定居住者以外の居住者の場合の制度

控除期間 居住年のみ
控除を受けられる人の要件 ・特定居住者 ・特定居住者以外の居住者
対象となる改修工事 ・高齢者等居住改修工事等
廊下の拡幅やロ 階段の勾配の緩和などの工事
・一般断熱改修工事等 (平成21年国土交通省告示第379号)
① エネルギーの使用の合理化に資する一定の改修工事で改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となるもの
イ 居室のすべての窓の改修工事や床の断熱工事などの工事
② 太陽光発電設備設置工事(①の工事と併せて行うものに限ります。)
金額基準 費用の額(補助金等の額を差し引いた金額)が30万円を超えること 一般断熱改修工事等の費用の額が30万円を超えること

認定長期優良住宅新築等特別税額控除

控除期間 新築の日又は取得の日から6ヶ月以内に自己の居住の用に供すること
居住年のみ
※ 次の場合は居住年の翌年の所得税の額から控除未済税額控除額を控除することができます。
・居住年の所得税の額から税額控除限度額を控除してもなお控除しきれない金額を有する場合
・居住年において、確定申告書を提出すべき場合及び提出することができる場合のいずれにも該当しない場合
対象となる家屋 ・床面積が50㎡以上の家屋であること
・床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供する家屋であること
・認定長期優良住宅であると証明されたものであること

計算方法は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」などの「各種計算明細書」に基づいて行いますが、家屋や土地等の取得対価の合計額と住宅借入金等の年末残高のいずれか少ない方の1%(100円未満切捨て)が税額控除の枠であり、この金額が還付税額(納付税額の減少)とならないケースも生じます。

申告書第2表の「特例適用条文」欄に「平成○○年○○月○○日 入居開始」との記載をお忘れなく。

給与所得者の方は取得年(入居年)の年分に確定申告を行い、翌年以降は確定申告を行わず、年末調整でこの特例を適用するためには「控除証明書の要否」欄に「要する」と記載しておけば、残りの年分の証明書が税務署から送付されます。 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書はこちらから (平成25年分年末調整)


税額控除の控除率

住宅借入金等特別控除 控除額の計算 (入居開始時期別)
居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高 控除率 各年の控
除限度額
最大控除
可能額
平成17年 10年 4,000万円以下の部分 1年目~8年目 
9年目・10年目
1.0%
0.5%
40万円
20万円
360万円
平成18年 10年 3,000万円以下の部分 1年目~7年目 
8年目~10年目
1.0%
0.5%
30万円
15万円
255万円
平成19年 10年 2,500万円以下の部分 1年目~6年目 
7年目~10年目
1.0%
0.5%
25万円
12.5万円
200万円
特例 15年 2,500万円以下の部分 1年目~10年目 
11年目~15年目
0.6%
0.4%
15万円
10万円
200万円
平成20年 10年 2,000万円以下の部分 1年目~6年目 
7年目~10年目
1.0%
0.5%
20万円
10万円
160万円
特例 15年 2,000万円以下の部分 1年目~10年目 
11年目~15年目
0.6%
0.4%
12万円
8万円
160万円
平成21年 10年 5,000万円以下の部分 全期間 1.0% 50万円 500万円
平成22年 10年 5,000万円以下の部分 全期間 1.0% 50万円 500万円
平成23年 10年 4,000万円以下の部分 全期間 1.0% 40万円 400万円
平成24年 10年 3,000万円以下の部分 全期間 1.0% 30万円 300万円
平成25年 10年 2,000万円以下の部分 全期間 1.0% 30万円 200万円

「控除額の特例」については、平成19年及び20年に入居する方を対象とし、控除期間は15年間とされています。これは、税源移譲による影響緩和策として創設されたものです。

認定長期優良住宅の新築等を行った場合の住宅借入金等特別控除 (入居開始時期別)
居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高 控除率 各年の控
除限度額
最大控除
可能額
平成21.6.4~ 10年 5,000万円以下の部分 全期間 1.2% 60万円 600万円
平成22年 10年 5,000万円以下の部分 全期間 1.2% 60万円 600万円
平成23年 10年 5,000万円以下の部分 全期間 1.2% 60万円 600万円
平成24年 10年 4,000万円以下の部分 全期間 1.0% 40万円 400万円
平成25年 10年 3,000万円以下の部分 全期間 1.0% 30万円 300万円

認定低炭素住宅に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例に関する控除額の計算は、上記の中に含まれることになります。(平成24年又は平成25年)

認定長期優良住宅の新築等を行った場合の所得税額の特別控除 (入居開始時期別)
居住年 控除期間 標準的なかかり
増し費用
控除率 各年の控
除限度額
最大控除
可能額
平成21.6.4~ 居住年(控除不足は翌年に控除可) 最高1,000万円 10% 100万円 100万円
平成22年 居住年(控除不足は翌年に控除可) 最高1,000万円 10% 100万円 100万円
平成23年 居住年(控除不足は翌年に控除可) 最高1,000万円 10% 100万円 100万円
平成24年 居住年(控除不足は翌年に控除可) 最高500万円 10% 50万円 50万円
平成25年 居住年(控除不足は翌年に控除可) 最高500万円 10% 50万円 50万円