貸倒引当金(個別評価による貸倒引当金と一括評価による貸倒引当金) 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

貸倒引当金(個別評価と一括評価による貸倒引当金)

事業遂行上生じた売掛金や貸付金などの債権について、一定の事由が生じている場合、将来の貸倒による損失に備えるため、年末の貸金残高の一定額を貸倒引当金勘定として繰入れることにより必要経費とすることができます。

貸倒引当金は、次の2種に大別されます。

個別評価による貸倒引当金・・・青色申告者、白色申告者を問わず適用
一括評価による貸倒引当金・・・青色申告者のみ適用

このページでは「個別評価による貸倒引当金」、「一括評価による貸倒引当金」の順に記述しております。

なお、前年にこの勘定に繰入れた金額がある場合は、本年分に繰戻し収入金額とすることになります。(洗替方式)

青色申告決算書の貸倒引当金記入例

(参考)
この貸倒引当金は、青色申告決算書(一般用)を用いますと右イメージのように記入することになります。
青色申告決算書(第2面)の抜粋


「個別評価による貸倒引当金」

不動産所得事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む者が、その事業の遂行上生じた売掛金などの金銭債権につき、貸倒等の見込額として、一定額の金額を貸倒引当金として繰入れた場合、その繰入金額をその年分の必要経費に参入することができます。

下記がこの「個別評価による貸倒引当金」計上の繰入事由となり、この事由が生じていることを証明する書類その他の財務省令で定める書類の保存がされていないときは、適用を受けることができません。

このページ下部に、「個別評価による貸倒引当金」に使用される様式を掲載しております。

所得税法施行令144条に規定される繰入事由
1号

法第52条第1項の居住者がその年12月31日において有する個別評価金銭債権につき、当該個別評価貸金等に係る債務者について生じた次に掲げる事由に基づいてその弁済を猶予され、又は賦払により弁済される場合 当該個別評価貸金等の額のうち当該事由が生じた日の属する年の翌年1月1日から5年を経過する日までに弁済されることとなつている金額以外の金額(担保権の実行その他によりその取立て又は弁済(以下この項において「取立て等」という。)の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)

 イ 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定
 ロ 民事再生法の規定による再生計画認可の決定
 ハ 会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定
 ニ イからハまでに掲げる事由に準ずるものとして財務省令で定める事由

2号

法第52条第1項の居住者がその年12月31日において有する個別評価貸金等に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと、災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたことその他の事由が生じていることにより、当該個別評価貸金等の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合(前号に掲げる場合を除く。)当該一部の金額に相当する金額

3号

法第52条第1項の居住者がその年12月31日において有する個別評価貸金等に係る債務者につき次に掲げる事由が生じている場合(第1号に掲げる場合及び前号に定める金額を同項に規定する政令で定めるところにより計算した金額として同項の規定の適用を受けた場合を除く。) 当該個別評価貸金等の額(当該個別評価貸金等の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額及び担保権の実行、金融機関又は保証機関による保証債務の履行その他により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)の100分の50に相当する金額

 イ 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の申立て
 ロ 民事再生法の規定による再生手続開始の申立て
 ハ 破産法(平成16年法律第75号)の規定による破産手続開始の申立て
 ニ 会社法の規定による特別清算開始の申立て
 ホ イからニまでに掲げる事由に準ずるものとして財務省令で定める事由

4号

法第52条第1項の居住者がその年12月31日において有する外国の政府、中央銀行又は地方公共団体に対する個別評価貸金等につき、これらの者の長期にわたる債務の履行遅滞によりその経済的な価値が著しく減少し、かつ、その弁済を受けることが著しく困難であると認められる事由が生じている場合 当該個別評価貸金等の額(当該個別評価貸金等の額のうち、これらの者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額及び保証債務の履行その他により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)の100分の50に相当する金額

「一括評価による貸倒引当金」

事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者が、その事業の遂行上生じた売掛金などの金銭債権(上記の「個別評価貸金等」を除きます)につき、貸倒等の見込額として、一定額の金額を貸倒引当金として繰入れた場合、その繰入金額をその年分の必要経費に参入することができます。

貸金の範囲 ●事業の遂行上生じた売掛金、貸付金
●準ずる金銭債権
●売掛金等の金銭債権につき取得した受取手形(割引・裏書したものを含む)
貸金に該当しないもの ●保証金、敷金、預け金等
●手付金、前渡金等
●前払給与、概算払い旅費等、将来精算される金額 など
実質的に債権とみられないもの ●同一人に対する売掛金と買掛金がある場合の相殺適状にあるような債権 など

繰入限度額の算式=その年の12月31日現在の「一括評価貸金」の帳簿価額の合計額×55/1,000(金融業33/1,000)

(様式) 個別評価による貸倒引当金に関する明細書

注)年分表示をしておりますが、この様式は年分の指定はなく、過年分から特に改訂は見られません。

掲載様式は、過年分の様式と差替え、平成24年分に使用されるものを掲載しております。様式下部に24.12表示

個別評価による貸倒引当金に関する明細書