寄附金控除(所得税の所得控除)平成29年分 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

所得税の寄附金控除(所得控除)平成29年分

寄附金控除とは、所得から差し引くことができる所得控除の一種でありますが、対象となる寄附金について代表的なものとして、

国に対する寄附金
ふるさと納税(都道府県・市区町村に対する寄附金)
社会福祉法人に対する寄附金
一定の特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
特定の政治献金
公益社団法人及び公益財団法人に対する寄附金
認定NPO法人等に対して、認定又は特例認定(仮認定)の有効期間内に支出した寄附金
特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額

などが挙げられます。対象となる団体等が数え切れなくあり、全てを網羅することは不可能であります。
 また、下記のように多くの寄附金特別控除が創設され、いずれかに該当する場合は、当該寄附金特別控除とこの従前からある寄附金控除との比較検討を要すなど、大変複雑なものとなっています。

認定NPO法人等とは、所轄庁(都道府県知事又は指定都市の長)の認定を受けた認定NPO法人(仮認定を受けた仮認定NPO法人を含む。)又は国税庁長官の認定を受けた旧認定NPO法人をいいます。

特定の政治献金のうち政党や政治資金団体に対するものや、認定NPO法人等や一定の公益社団法人等に対するものを支出した場合には、それぞれ政党等寄附金特別控除認定NPO法人等寄附金特別控除公益社団法人等寄附金特別控除と寄附金控除のいずれか有利な方を選ぶことができます。

なお、いずれの控除の適用を受けることが有利であるかは、あなたの所得金額又は政治献金の額や寄附金の額などにより異なりますので「政党等寄附金特別控除額の計算明細書」や「認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算明細書」、「公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書」で計算の上確認してください。

また、この「寄附金控除」を受けるためには、寄附金の受領証寄附金控除の対象となる旨の証明が必要となります。
 寄附金を受けた側においても、これら受領証などを発行しているはずですので、ご確認を。

実務では、証明書等の有無で、第一義的には判断することになろうかと思われます。

寄附金控除は、主として金銭の寄附を考えますが、なかには金銭以外の物による寄附もありえます
国等に対する土地や美術品などの寄附。
 これには税務上の判断が必要であり、金銭のようにすんなり計算はできません。税理士など専門家等に、ご相談されますように。

寄附金に関する税制は、従来からの所得控除である「寄附金控除」、税額控除の「政党等寄附金」、平成20年からの「特定の株式を取得した場合」が挙げられますが、
 平成23年分から「認定NPO法人に対する寄附金」、「公益社団法人等に対する寄附金」の税額控除の制度が創設されています。

寄附金に関する所得控除・税額控除・株式取得の制度一覧
所得控除 29寄附 28寄附 27寄附 26寄附 25寄附 24寄附 23寄附 22寄附 21寄附 20寄附
税額控除 29政党 28政党 27政党 26政党 25政党 24政党 23政党 22政党 21政党 20政党
所得控除 29株式 28株式 27株式 26株式 25株式 24株式 23株式 22株式 21株式 20株式
税額控除 25震災 24震災 23震災 なし なし なし
税額控除 29NPO 28NPO 27NPO 26NPO 25NPO 24NPO 23NPO なし なし なし
税額控除 29公益 28公益 27公益 26公益 25公益 24公益 23公益 なし なし なし

この所得控除である寄附金控除の計算は、以下の計算式を参照願います。

平成29年分所得税の確定申告の手引き(確定申告書B)のP16
 確定申告にて、寄附金控除を控除される方は、「手引き」に下記の計算欄が設けてありますので参照ください。

また、下記の様式は、表計算ソフト「エクセル」にて作成したものの写しであります。
 自動計算にて控除額を求める計算シートでありますが、こちらのページからは動作いたしません。

平成29年分所得税の確定申告の手引き(確定申告書B)のP16

平成26年分から震災関連寄附金の計算欄が削除されています。

平成19年分以降は、Cの計算部分B×0.4が改正されています。従前は×0.3
違った年分の用紙を使用しますと、誤った計算結果となりますのでご注意ください。
22年分から、「E」計算欄の控除額が5,000円から2,000円に改訂されています。

設例
①○○県(ふるさと納税)・・・80,000円
②□□市(ふるさと納税)・・・40,000円
③住所地の日本赤十字支部・・・90,000円
④住所地の都道府県共同募金会(社会福祉法人)・・・20,000円
⑤社会福祉法人(住所地の都道府県が条例指定)・・・55,000円
⑥認定NPO法人(住所地の都道府県・市区町村ともにが条例指定)・・・5,000円

④については、公益社団法人等寄附金特別控除を⑥については認定NPO法人寄附金特別控除を(税額控除)適用し、これ以外の寄附金を所得税の寄附金控除の適用を受けます。

平成26年分所得税寄附金控除の計算

※1 政党等寄附金特別控除や認定NPO法人寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除を受ける金額は記入しません。
 ※2 ほかに申告分離課税(27ページ)の所得がある場合には、それらの所得金額(特別控除前の金額)の合計額を加算します。

住民税の寄附金税額控除 平成29年分所得税の確定申告の手引き(確定申告書B)のP25

住民税は、所得控除ではなく税額控除であり、申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄の該当欄に、寄附金の金額を区分し記載することになります。

上記設例の寄附金を税額控除を受ける場合の記載例

住民税の控除を受ける場合の申告書第2表の記載例