建物、建物付属設備、機械装置、車両運搬具、工具器具備品などの資産は、購入した年度の一時の必要経費とはせず、使用可能期間で費用配分を行います。これは各々の資産は、使用可能期間中の収入に見合う費用とするという考え方から、償却計算という手法を用い計算を行います。
減価償却資産の種類
区分 | 減価償却資産の種類 | 非減価償却資産 |
---|---|---|
有形固定資産 | 建物、建物付属設備、構築物、機械装置、船舶車両、工具器具備品など | 土地、販売目的に所有するもの(棚卸資産となります)建設中の建物(建設仮勘定)、書画骨董など |
無形固定資産 | 鉱業権、漁業権、水利権、特許権など | 地上権、借地権等土地の上に存する権利 |
生物 | 牛、馬、果樹、茶樹など | 飼育、養殖、育成中の動植物など |
上記の減価償却資産でも、使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満のものは減価償却資産とはせず、消耗品費など一時の必要経費とします。(個人・所得税の場合)
法人税の取扱いでは償却計算とするか一時の損金とするか法人の選択となります。
減価償却費の計算方法
定額法 資産の減価は毎年同額とする計算方法
(取得価額-残存価額)×償却率×使用月数/12=償却費
定率法 一定の率により償却を行う方法、この方法は初期に償却額が多額となる
(取得価額-前年末までの償却累計額)×償却率×使用月数/12=償却費
方法 | 年分 | 取得 年月 |
①取得価額 | 残存価額 | ②前年末 償却累計 |
③償却 基礎金額 |
耐用 年数 |
④ 償却率 |
⑤1年分 の償却費 |
⑥取得 年の償 却費 |
⑦その 年の償 却費 |
⑧未償 却残高 |
定額法 | X年 | X年9月 | 1,000,000 | 100,000 | 0 | 900,000 | 5 | 0.200 | 180,000 | 60,000 | 60,000 | 940,000 |
X+1年 | X年9月 | 1,000,000 | 100,000 | 60,000 | 900,000 | 5 | 0.200 | 180,000 | – | 180,000 | 760,000 | |
定率法 | X年 | X年9月 | 1,000,000 | 100,000 | 0 | 1,000,000 | 5 | 0.369 | 369,000 | 123,000 | 123,000 | 877,000 |
X+1年 | X年9月 | 1,000,000 | 100,000 | 123,000 | 877,000 | 5 | 0.369 | 323,613 | – | 323,613 | 553,387 |
定額法 取得年は、①取得価額×0.9(③の金額)×④償却率×使用月数/12=償却費
翌年も同様の計算
定率法 取得年は、①取得価額(0.9の定数はなく①と同額)×④償却率×使用月数/12=償却費
翌年は(①取得価額ー②償却累計)×④償却率×使用月数/12=償却費
参考 | 共通 | 平成19年度税制改正前 固定資産台帳記載例へ |
---|---|---|
平成19年度税制改正後 固定資産台帳記載例へ | ||
個人の方 | 青色申告決算書(一般用)第3面へ | |
法人の方 | 別表十六(一)定額法・・・・明細書へ | |
法人の方 | 別表十六(二)定率法・・・・明細書へ |
関連事項 | H19 一般青色決算書 | 耐用年数表 |
---|---|---|
H19 一般収支内訳書 | 償却率表 | |
H19 不動産青色決算書 | 所得税の必要経費 | |
H19 不動産収支内訳書 |
減価償却費関係
①取得価額については下記の取得の態様により | ||
他から購入した資産 | 取得価格に買入手数料、関税、運送保険料、搬入費、据付費などを加算 | |
自己が製造した資産 | 製造や建設のために直接支払った材料費、労務費、その他の経費のほか、業務の用に供するために直接要した費用の合計額 | |
相続等 | 1、個人からの贈与、相続(限定承認以外のもの)、包括遺贈(限定承認以外のもの)、相続人に対する特定遺贈又は死因贈与、時価の1/2未満で譲渡を受けた場合(譲渡者側で譲渡損が生じている場合に限る)以上は贈与者などがその資産を取得するために要した所得費 2、1以外の相続、遺贈、低額譲受 相続時などのその時の時価 |
|
転用資産 | 実際の取得価額とその後に支出した設備費、改良費の合計。 ただし、業務に供していなかった期間の減価償却費相当額(減価の額)は償却が終えているものとして計算されます。 その累計額の計算(定額法による)=取得価額×0.9×償却率(その資産の耐用年数の1.5倍に対応する年数)×年数(5ヶ月は切捨て、6ヶ月は切上げ) |
|
資本的支出のあった資産 | 資産の取得後、その資産の価額を増加させる資本的支出があった場合は、その資本的支出の金額を取得価額に加算することになります。 | |
残存価額 スクラップ価額をいい、資産の種類により | ||
有形減価償却資産(坑道を除く) | 取得価額の10% | |
無形減価償却資産及び坑道 | 0円 | |
償却可能限度額(残存価額に達しても、なお使用可能な場合、下記の資産の種類により償却計算が可能 | ||
有形減価償却資産 | 取得価額の95% | |
堅固な建物等 | 取得価額-1円 | |
耐用年数、④償却率 | それぞれの資産ごとに財務省令によって定められており、年数に対する償却率も併載されています。 | |
中古資産の耐用年数 | ○原則 取得時での使用可能年数を見積もる。見積は困難であり、実務的には簡便法を選択、 ○簡便法 ●耐用年数全部経過 法定耐用年数の20%=見積耐用年数(1年未満端数切捨て、2年未満となる場合は2年) ●耐用年数一部経過 (法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)=見積耐用年数 (カッコ内上記と同じ) ただし、中古資産取得後に取得価額の50%を超える改良費を支出している場合は、簡便法は適用できません。 |
|
その他 | 中小企業者の少額減価償却資産の必要経費算入の特例 | |
特別償却や割増償却などの制度があります。 |