平成23年12月税制改正 所得税関係 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

平成23年12月税制改正 所得税関係

下記は、国税庁「平成23年12月 所得税の改正のあらまし」を基に主な改正事項を抜粋し記述しております。

 この「改正のあらまし」は、次の目次となります。
├1 平成23年12月所得税の主な改正事項
├2 平成23年12月度の改正事項のうち、平成24年分の所得税から適用される主なもの
├3 平成23年12月度の改正事項のうち、平成25年分の所得税から適用される主なもの
└4 平成23年12月度の改正事項のうち、平成26年分の所得税から適用される主なもの

1 平成23年12月所得税の主な改正事項

1 更正の請求の範囲の拡大(所得税関係)

(1) 当初申告要件の見直し

イ 純損失・雑損失の繰越控除・・・純損失・雑損失の繰越控除について、損失が生じた年分の確定申告書を期限内に提出していることが要件とされていましたが、確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合について適用を受けることができることとされました 。

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

ロ 変動所得及び臨時所得の平均課税等・・・変動所得及び臨時所得の平均課税について、確定申告書、修正申告書又は更正請求書にこの適用を受ける旨の記載があり、かつ、当該所得の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合について適用を受けることができることとされました(所法90④)。給与所得者の特定支出の控除の特例、資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例及び資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入の特例についても同様の改正が行われました。

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

ハ 外国税額控除・・・外国税額控除について、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合等について適用を受けることができることとされました。また、適用を受けることができる金額は、当該書類に記載された金額を限度とすることとされました。

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

(2) 控除額の制限の見直し

イ 青色申告特別控除及び電子証明書等特別控除について、当初申告の確定申告書に記載した金額を適用上限とする措置が廃止されました。

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

ロ 次の事業所得等に係る所得税額の特別控除額の適用について、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合に適用を受けることができることとされました。また、適用を受ける控除等の金額について確定申告書に記載された金額を限度とする控除額の制限が見直され、確定申告書に添付する当該書類等に記載された金額を基礎として計算した金額を限度とすることとされました。

①試験研究を行った場合の所得税額の特別控除、②試験研究を行った場合の所得税額の特別控除の特例、③エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除、④中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除、⑤沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の所得税額の特別控除、⑥雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除、⑦所得税の額から控除される特別控除額の特例

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

2 平成23年12月の改正事項のうち、平成24年分の所得税から適用される主なもの

1 減価償却関係

(1) 減価償却資産の定率法の見直し

減価償却制度について、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した割合(改正前2.5倍した割合)とされました。
(注1)定率法を採用している者が、平成24年4月1日から同年12月31日までの間に減価償却資産の取得をした場合には、改正前の償却率による定率法により償却することができる経過措置が講じられています。
(注2)平成24年4月1日前に取得をした定率法を採用している減価償却資産について、平成24年分の確定申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率により償却費の計算等を行うことができる経過措置が講じられています。

(2) 資本的支出をした場合の取得価額の特例の廃止

資本的支出の取得価額の特例のうち、資本的支出をした日の属する年分の翌年1月1日において減価償却資産の取得価額と当該資本的支出により取得したものとされた減価償却資産の取得価額との合計額を取得価額等として一の減価償却資産を取得したものとすることができる措置について、平成24年3月31日以前に取得した減価償却資産と平成24年4月1日以後にした資本的支出により取得をしたものとされた減価償却資産とを一の減価償却資産とすることはできないこととされました。

2 事業所得関係

(1) 次に掲げる租税特別措置について、所要の経過措置が講じられた上、適用期限の到来をもって廃止されることとなりました。

①エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除額、②事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別税額控除、③事業革新設備等の特別償却

(適用関係)この改正は、平成24年4月1日から施行されます。

4 平成23年12月の改正事項のうち、平成26年分の所得税から適用される主なもの

記帳義務・記録保存義務

個人の白色申告者で、前々年分あるいは前年分の事業所得等の合計額が300万円を超える者について課されていた記帳義務・記録保存義務が、それ以外の事業所得者等についても、同様に課されることとされました。

(適用関係)この改正は、平成26年1月1日以後において事業所得者等に該当する者について適用されます。