平成21年税制改正 所得税関係 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

平成21年税制改正 所得税関係

下記は、国税庁「平成21年分 所得税の改正のあらまし」を基に主な改正事項を抜粋し記述しております。

住宅借入金等特別控除に関する改正

住宅借入金等特別控除の改正
 特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除の特例の改正
 住宅耐震改修特別控除の改正
 住宅特定改修特別税額控除の創設
 認定長期優良住宅新築等特別税額控除の創設

平成21年度税制改正により、従前からの特別控除の制度の適用期限の延長及び新たな特別税額控除の創設がなされています。

新たな住宅税制については、別稿を設け解説を行っております。

新住宅借入金等特別控除についてのページはこちら

電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除

e-Tax で申告を行った際の 5,000円税額控除の適用期限が、2年延長されました。
 e-Tax で申告を提出又は提示を省略する書類に、次のものが加えられました。

イ 上場株式配当等の支払通知書  ロ オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書  ハ 配当等とみなされる金額の支払通知書
 (紙での確定申告書には、上記配当関係第3者作成書類は提出等しなければならないと改正されています。)

事業所得に関する改正

特別償却・割増償却・税額控除の改正(抜粋)

試験研究を行った場合の所得税額の特別控除
 適用範囲の追加
 エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除
 その適用期限が2年延長。
 また、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に取得等をするエネルギー需給構造改革推進設備は、その事業の用に供した日の属する年分において、即時償却できることとされました。
 事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除
 その適用期限が2年延長。
 情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除
 償却限度額及び特別税額控除額の計算の基礎となる情報基盤強化設備等の基準取得価額をその取得価額の100分の70相当額とすることとされました。
 優良賃貸住宅の割増償却における高齢者向け優良賃貸住宅
 割増償却率が見直され、その適用期限が2年延長。

減価償却制度の改正

法定耐用年数について、機械及び装置を中心に使用年数を基に資産区分が整理され、法定耐用年数の見直し等が行われました。
 この改正は、平成20年度税制改正によるものですが、個人の方の所得税については、平成21年分から適用される事になります。

耐用年数表についてのページはこちら

譲渡所得に関する改正

●特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除の創設
 個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得(特別の関係がある者からの取得、相続等によるもの等一定のものを除きます。)をした国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中のその譲渡に係る長期譲渡所得の金額から1,000万円(その長期譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合には、その長期譲渡所得の金額)を控除することとされました。

●平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例の創設
 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等(棚卸資産等に該当するものを除きます。)の取得をし、かつ、その取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその取得をした土地等(以下「先行取得土地等」といいます。)につきこの特例の適用に係るものである旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合において、その取得をした日の属する年の12月31日後10年以内に、その者の所有する他の事業用土地等の譲渡をしたときは、その事業用土地等の譲渡利益金額からその利益金額の100分の80(この適用を受ける先行取得土地等が平成22年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をされたもののみである場合には、100分の60)に相当する金額 (先行取得土地等の取得価額の合計額を限度とします。)を控除した金額に相当する金額をその事業用土地等の譲渡による譲渡所得の金額とすることとされました。

●特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例
 イ 国内にある長期所有の土地等又は建物等から国内にある土地等、建物等又は機械装置への買換えの特例の適用期限が3年延長されました。
  ロ 短期所有土地等の譲渡に対する特例の不適用措置の凍結期限が3年延長されました。

●山林所得に係る森林計画特別控除
  その適用期限が2年延長。

金融・証券税制に関する改正

上場株式等の配当所得に対する課税

●申告分離課税制度の創設
 居住者等が、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主等を除く)に係る配当所得については、総合課税のほかに、15%(住民税は5%)の税率による申告分離課税を選択することができることとされました。

【特例措置】居住者等が平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得については、7%(住民税は3%)の税率が適用されます。

また、この申告分離課税の選択は、申告する上場株式等の配当等に係る配当所得の全額についてしなければならないこととされ、申告分離課税を適用した上場株式等の配当等に係る配当所得については、配当控除は適用されません。
 ※「居住者等」・・・居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者
 ※「大口株主等」・・・その株式等の保有割合が発行済株式又は出資の総数又は総額の5%以上である株主等

平成21年分 配当控除についてのページはこちら(削除済)

●上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例の改正
 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率に対する7%(居住者は、他に住民税3%)の軽減税率が、平成20年12月31日をもって廃止されました。

【特例措置】個人(大口株主等を除く)又は法人が平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に支払を受けるべき上場株式等の配当等については、引き続き7%(居住者は、他に住民税3%)の税率を適用することとされました。

上場株式等の配当に対する税率
上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率

上場株式等に係る譲渡所得等に対する課税

●上場株式等に係る譲渡所得等の軽減税率の特例の改正
 上場株式等に係る譲渡所得等の金額に対する7%(住民税は3%)の軽減税率が、平成20年12月31日をもって廃止されました。

【特例措置】平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に上場株式等の譲渡をした場合の上場株式等に係る譲渡所得等の金額については、引き続き7%(住民税は3%)の税率を適用することとされました。

上場株式等の譲渡所得等に対する税率

●特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例の改正
 源泉徴収の選択をした特定口座(源泉徴収選択口座)における所得税の源泉徴収及び還付の際に適用される7%(住民税は3%)の軽減税率が、平成20年12月31日をもって廃止されました。

【特例措置】平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に上場株式等の譲渡又は上場株式等の信用取引等による差金決済を行った場合の、その譲渡収入金額又は差金等に基づき一定の計算により算定される源泉徴収選択口座内調整所得金額に対する源泉徴収税率及び還付の際の税率については、引き続き7%(住民税は3%)とすることとされました。

上場株式等の源泉徴収選択口座内の源泉徴収税率

損益通算の特例の創設等

●上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
 確定申告書を提出する居住者等の平成21年分以後の各年分について、上場株式等に係る譲渡損失の金額と上場株式等の配当等に係る配当所得 (申告分離課税を選択したものに限ります。) の金額との損益通算及び繰越控除(3年間)ができることとされました。

※ 平成20年以前の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で平成21年以後に繰り越されるものについても、平成21年以後の各年分の上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができます。

平成21年分 株式等の譲渡所得の計算明細書のページはこちら (削除済)

●源泉徴収選択口座内配当等に係る所得計算及び源泉徴収等の特例の創設
 平成22年1月1日以後に金融商品取引業者等を通じて支払を受ける上場株式等の配当等については、その金融商品取引業者等に開設している源泉徴収選択口座に受け入れができることとされました。

平成22年1月1日以後に源泉徴収選択口座を有する居住者等が支払を受ける上場株式等の配当等のうち源泉徴収選択口座に受け入れたもの(源泉徴収選択口座内配当等)については、その源泉徴収選択口座内配当等に係る配当所得の金額と源泉徴収選択口座内配当等以外の配当等に係る配当所得の金額とを区分して、これらの金額を計算することとされました。

また、平成22年以後の各年において源泉徴収選択口座内に上場株式等に係る譲渡損失の金額があるときは、その源泉徴収選択口座内配当等について徴収して納付すべき所得税の額は、その年中の源泉徴収選択口座内配当等の総額とその上場株式等に係る譲渡損失の金額との間で損益通算をした残額に対して源泉徴収税率を乗じて計算した金額とすることとされました。