変動所得・臨時所得の平均課税の計算書(平成22年分) 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

変動所得・臨時所得の平均課税の計算書 22

平均課税の制度と計算方法

所得税の課税方法の基本は、事業所得~雑所得までの10種の所得に区分し、各種所得の金額の合計から所得控除を控除し、課税所得に対し超過累進税率又は一定(多段階)税率を乗じた税額の合計額としますが、

年分により著しく所得が増加したり、収入の変動が激しい職種や業種の方は、所得税の税率構造(超過累進税率)により、複数年で見ると所得が平準化されている方に比べ税負担が重くなる場合があります。
 (所得税が単一税率であれば、大きな差異は生じないと思われます。)

よって、税負担の調整を図る目的から、一定の所得に該当する場合の税額計算は、「平均課税方式」という方法を選択することが認められています。

一定の所得とは「変動所得」「臨時所得」を指しますが、所得の区分に「変動所得」「臨時所得」はなく、「事業所得・不動産所得・雑所得」に区分されているなかに設けられている「類型」であります。

よく知られるものに、漁業関係や文筆家の所得、プロ選手の契約金などがあります。


変動所得」・・・「事業所得」か「雑所得」

漁獲又はのりの採取から生ずる所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝又は真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生ずる所得、原稿又は作曲の報酬に係る所得及び著作権の使用料に係る所得

臨時所得」・・・「事業所得」か「不動産所得」か「雑所得」

(1)3年以上の期間にわたる不動産の貸付けの対価の総額として一括して支払を受ける賃貸料で、その全額がその年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきもの
 (2)不動産の賃貸人が、賃借人の交替又は転貸により賃借人又は転借人(前借人を含む。)から支払を受けるいわゆる名義書換料、承諾料その他これらに類するもの(その交替又は転貸後の貸付期間が3年以上であるものに限る。)で、その金額がその交替又は転貸後に当該賃貸人が支払を受ける賃貸料の年額の2倍に相当する金額以上であるもの(譲渡所得に該当するものを除く。)
 (3)令第8条第2号に規定する不動産、不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものに係る損害賠償金その他これに類するもので、その金額の計算の基礎とされた期間が3年以上であるもの(譲渡所得に該当するものを除く。)
 (4)金銭債権の債務者から受ける債務不履行に基づく損害賠償金及び通則法第58条第1項(還付加算金)又は地方税法第17条の4第1項(還付加算金)に規定する還付加算金で、その金額の計算の基礎とされた期間が3年以上であるもの

「平均課税」が適用できる場合

①変動所得だけの場合 その年分の変動所得の金額(※1)が、その年分の総所得金額の20%以上
(※1)前年以前2年以内に変動所得がある場合、前年分及び前々年分の変動所得の金額の合計額の1/2を超える場合に限る
②臨時所得だけの場合 その年分の臨時所得の金額が、その年分の総所得金額の20%以上
③両方ある場合 その年分の変動所得と臨時所得の金額の合計額(※2)が、その年分の総所得金額の20%以上
(※2)その年分の変動所得が、前年分及び前々年分の変動所得の金額の合計額の1/2以下である場合、その年分の臨時所得

税額計算は、「計算書」に従い計算を行っていただくことになります。

注)この様式には、年分の記載がありませんが、当事務所の解説用には年分を入れ、下記の記載例としております。平成17年分~平成21年分の所得税の確定申告書の様式改訂があったため、当該様式も転記先番号が変更となっております。平成22年分には改訂がない模様です。前年分様式との判別は、様式右下に(22.7)の表示。
 様式改訂されていても、計算方法・記入方法等の本質部分については何ら変更はありません。


下記は、エクセル(自動計算ファイル)にて作成している様式で、セルの色付き部分が自動計算を行う部分となります。写しでありますので、当事務所ホームページ上ではこの様式の操作を行うことができません。

記載例の概要 記入済みの数字等は仮定のものです。不動産所得及び雑所得を有し、分離課税の所得無し

平均課税の計算事例
収入金 所得金額 「計算書」
不動産所得総額 —,—円 —,—0円
内、臨時所得に該当 1,500,000円 1,500,000円
雑所得総額 1,500,000円 1,250,000円
内、変動所得に該当 1,000,000円 820,000円 ①及び②
前々年分の変動所得 200,000円
前年分の変動所得 280,000円

課税所得金額 4,300,000円 所得金額の合計から所得控除を差引いた金額
税額の計 265,940円 この金額が算出税額となり、申告書へ転記されます。

実際の申告納税額の計算は、上記から「税額控除」、「源泉徴収税額」を差引き求めることになります。ちなみに「平均課税」を適用しないで求めた算出税額は、最下部参照ください。・・・未掲載

平成22年分 変動所得・臨時所得の平均課税の計算書

平成22年分 変動所得・臨時所得の平均課税の計算書

平成22年分 確定申告書B 1面の抜粋 税負担の比較・・・・・未掲載