不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等を取得するために要した負債の利子がある場合、現在、その金額はなかったものと取り扱われています。
下記の「計算明細書」は、このなかったものとされる金額を求めるために使用する様式となります。
つまり、上記の額に相当する部分の金額については損益通算の対象としないこととする特例であります。
従前はこのような制約がなく、不動産所得で生じた損失は、他の黒字の金額と損益通算を行うことが可能でしたが、平成3年の税制改正により設けられ、個人の平成4年分以降の所得税から適用されることとなりました。
関連事項 不動産青色申告決算書(平成19年分以降用) 損益通算と損失の繰越控除
負債利子制限の制定の趣旨は、
借入金により貸付物件を取得し、これを貸付けることにより不動産所得の損失を生じさせ、他の給与所得や事業所得の金額と相殺することに対する不公平感や、不要不急の土地需要を高め、地価高騰の一因となっていると考えから導入された背景があります。
この「特例(不利な)」は、土地取引が沈静化している現状においては、その役割もあまり感じられませんが、引続き存続しています。
不動産所得の収支計算の実務において
新築物件であれば、土地等と建物の金額を区分することは容易であるでしょう。(売買契約書等で消費税等の金額から判断可能。)
悩ましい事例は、中古物件等で物の区分がない取引であります。
当事務所においては、このような事例の場合、
税務用語で言うところの否認を受けないよう、可能な限り合理的な区分計算を行うよう努めております。
土地等の取得に要した借入金利子の計算明細書
(平成 年分)
資産の名称 | ① | ○○マンション | ××ビル | 不動産所得の金額が赤字で、同一人から一括取得した土地・建物に係る借入金がある場合、申告書に添付してください。 | |
資産の所在地 | ② | △△市□□町 | △△市□□町 | ||
土地・建物の取得価額 | ③ | 118,476,388 | 616,523,612 | ||
建物の取得価額 | ④ | 66,964,915 | 375,875,615 | ||
貸付割合 | ⑤ | 100% | 100% | ||
業務用部分の取得価額 ④×⑤ |
⑥ | 66,964,915 | 375,875,615 | ||
土地等の取得価額 | ⑦ | 51,511,473 | 240,647,997 | ||
貸付割合 | ⑧ | 100% | 100% | ||
業務用部分の取得価額 ⑦×⑧ |
?H | 51,511,473 | 240,647,997 | ||
借入金総額(当初の金額) | ?I | 118,476,388 | 616,523,612 | ||
業務用部分に係る借入金 ?I×(⑥+?H)÷③ |
?J | 118,476,388 | 616,523,612 | ||
土地の取得に要した借入金 ?J-⑥(赤字の場合は0) |
?K | 51,511,473 | 240,647,997 | ||
当年分の?Iに係る利子 | ?L | 2,688,899 | 13,992,405 | ||
必要経費に算入した利子 ?L×?J÷?I |
?M | 2,688,899 | 13,992,405 | ||
土地等の取得に係る部分 ?M×?K÷?J |
?N | 1,169,086 | 5,461,663 |
借入金は建物の取得にまず充てられているとして計算