大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

小規模宅地の特例の概要

本頁は、国税庁 「令和2年分用 相続税の申告のしかた」を基に記載しております。文中何ページと記述している箇所がありますが、「相続税の申告のしかた」を原文のまま掲載し、参照しているページは、掲載しておりませんのでご了承ください。
 なお、一定の場合、「小規模宅地等の特例」、「特定計画山林の特例」、「特定事業用資産の特例」を併用して適用を受けることができますが、「特定計画山林の特例」、「特定事業用資産の特例」についての記述は割愛させて頂きます。

小規模宅地等 相続税の課税価格の計算の特例

相続財産のうち、一定のものについては、課税価格の計算上、特例が設けられています。
 代表的な特例として「小規模宅地の特例」があり、被相続人等の居住の用又は事業の用に供されていた宅地等は、一定の要件を満たすときに限り、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定割合を減額するというものです。
 この特例は、上記の宅地等は相続人等の生活基盤、社会的基盤の維持に不可欠なもので、また処分に相当の制約を受けることを配慮して設けられています。


小規模宅地等の特例(申告書第11・11の2表の付表1、付表1(続)、付表1(別表1)、付表1(別表1の2)、付表1(別表2)は、次の表のとおりです。

イ 特例のあらまし

個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計をーにしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)うち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げるに掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。
 なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等及び「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(65ページ参照)の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者又は「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」(58ページ参照)の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続又は遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
 また、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与により財産を取得したいずれかの人が、その被相続人から相続時精算課税に係る贈与により取得した一定の株式又は出資について平成21年改正前の租税特別措置法第70条の3の3第1項又は第70条の3の4第1項の規定の適用を受けていた場合には、この特例の適用を受けることはできません。

相続開始直前における宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額される割合
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等 ①特定事業用等宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く。)用の宅地等 ②特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
③貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 ④貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 ⑤貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 ⑥特定居住用宅地等に該当する宅地等 330㎡ 80%

(注)1 「宅地等のうち一定のもの」とは、建物又は構築物の敷地の用に供されている宅地等(農地及び採草放牧地は除きます。)をいい、棚卸資産及びこれに準ずる資産除きます。
 2 「限度面積」については、特例を適用する宅地等が、次の(1)又は(2)のいずれに該当するかに応じ、それぞれの算式を満たす面積がそれぞれの限度面積となります。
 (1) 特例を適用する宅地等が特定居住用宅地等(⑥)及び特定事業用等宅地等(①又は②)である場合(特例を適用する宅地等のうちに、貸付事業用宅地等(③、④又は⑤)がない場合)
  A≦400㎡・B≦330㎡(合計730㎡まで適用可能)
 (2) 特例を適用する宅地等が貸付事業用宅地等(③、④又は⑤)及びそれ以外の宅地等(①、②又は⑥)である場合(特例を適用する宅地等のうちに、貸付事業用宅地等(③、④又は⑤)がある場合)
  A×200/400+B×200/330+C≦200㎡

〇上記の算式中の符号は、次の通りです。
 (注) A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(①+②)
  B :「特定居住用宅地等」 の面積の合計(⑥)
  C :「貸付事業用宅地等」の面積の合計(③+④+⑤)
 ※ 1 特例を適用する宅地等が配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される宅地等又はその宅地等を配偶者居住権に基づき使用する権利の全部又は一部である場合には、その宅地等の面積に、それぞれその敷地の用に供される宅地等の価額又はその権利の価額がこれらの価額の合計額のうちに占める割合を乗じて得た面積を、特例を適用する宅地等の面積とみなして、(1)及び(2)の算式を計算します。
 2(2)の算式におけるA、B及びCの面積の端数処理に当たっては、その面積の合計が200㎡を超えないようご注意ください。

3 宅地等のうちに被相続人等の事業の用及び居住の用以外の用に供されていた部分がある場合には、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた部分のみが特例の対象となります。
 4 この特例と「特定計画山林の特例」(21ページ参照)を併用して適用する場合には、22ページの(6)をご覧ください。

(イ) 特定事業用宅地等とは

相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等(その相続の開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等(「3年以内事業用宅地等」といいます。以下同じです。)を除きます。)で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。

特定事業用宅地等の要件
区分 特例の適用要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

(注)1 「準事業」とは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得 て継続的に行うものをいいます。
2 相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等であっても、一定の規模以上の事業を行っていた被相続人等の事業の用に供された宅地等については、3年以内事業宅地等に該当しません。
 なお、上記の「一定の規模以上の事業」とは、次の算式を満たす場合におけるその事業をいいます。

(算式)下記の事業の用に供されていた一定の資産(※)のうち被相続人等が有していたものの相続開始時の価額の合計額/新たに事業の用に供された宅地等の相続開始時の価額 ≧15%
※ 上記の「一定の資産」とは、次に掲げる資産(その資産のうちにその事業の用以外の用に供されていた部分がある場合には、その事業の用に供されていた部分に限ります。)をいいます。
 ① その宅地等の上に存する建物(その付属設備を含む。)又は構築物
 ② 所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産でその宅地等の上で行われるその事業に係る業務の用に供されていたもの(上記①に掲げるものを除きます。)

2 所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)附則により、平成31年4月1日から令和4年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、平成31年3月31日までに事業の用に供された宅地等については、3年以内事業宅地等に該当しないものとする経過措置が設けられています。
 3 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人が、特定事業用宅地等についてこの特例の適用を受ける場合には、その人を含め、その被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人の全てが、「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」(58ページ参照)の適用を受けることができません。

(ロ) 特定同族会社事業用宅地等とは

相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、次の表の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(一定の法人の事業の用に供されている部分で、次の表に掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。

特定同族会社事業用宅地等の要件
区分 特例の適用要件
一定の法人の事業の用に供されていた宅地等 法人役員要件 相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

(注) 一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
 ① 被相続人の親族等とは、被相続人の親族及びその被相続人と租税特別措置法施行令第40条の2第16項に定める特別の関係がある者をいいます。
 ② 発行済株式の総数又は出資の総額には、法人の株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の全部について制限された租税特別措置法施行規則第23条の2第6項又は第7項に規定する株式又は出資は含まれません。

(ハ) 特定居住用宅地等とは

相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。

特定居住用宅地等の要件
区分 特例の適用要件
取得者 取得者ごとの要件
被相続人の居住の用(注1)に供されていた宅地等(注2) 1 被相続人の配偶者 「取得者等ごとの要件」はありません
2 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族(注3) 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限間まで有していること
3 上記1及び2以外の親族 次の (1)から (6)の要件を全て満たすこと(一定の経過措置がありますので、詳しくは次ページの(注)4を参照してください。)
(1) 居住制限納税義務者又は非居住制限納税義務者(注5)のうち日本国籍を有しない者ではないこと
(2) 被相続人に配偶者がいないこと
(3) 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと
(4) 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人(注6)が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
(5) 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
(6) その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 1 被相続人の配偶者 「取得者等ごとの要件」はありません
2 被相続人と生計を一にしていた親族 相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限間まで有していること

(注) 1 「被相続人の居住の用」には、被相続人の居住の用に供されていた宅地等が、養護老人ホームへの入所など被相続人が居住の用に供することができない一定の事由(次の (1)又は(2)の事由に限ります。)により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合(被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の人の居住の用に供された場合を除きます。)におけるその事由により居住の用に供されなくなる直前の被相続人の居住の用を含みます。
 (1)介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定若しくは同条第2項に規定する要支援認定を受けていた被相続人又は介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当していた被相続人が次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。
 イ 老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
 ロ 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設又は同条第29項に規定する介護医療院
 ハ 高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅(イの有料老人ホームを除きます。)
 (2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法第5条第11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限ります。)又は同条第17項に規定する共同生活援助を行う住居に入所又は入居をしていたこと。
 2 「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」が、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」※を除きます。)の敷地の用に供されていたものである場合には、その敷地の用に供されていた宅地等のうち被相続人の親族の居住の用に供されていた部分(上記〔特定居住用宅地等の要件〕区分②に該当する部分を除きます。)を含みます。
 3 「被相続人の居住の用に供されていたー棟の建物に居住していた親族」とは、次の(1)又は(2)のいずれに該当するかに応じ、それぞれの部分に居住していた親族のことをいいます。
 (1) 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」※である場合
 被相続人の居住の用に供されていた部分
 (2) (1)以外の建物である場合
 被相続人又は被相続人の親族の居住の用に供されていた部分
 ※ 「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」 とは、区分所有建物である旨の登記がされている建物をいいます。
 4 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)附則により、次の経過措置が設けられています。
(1) 平成30年4月1日から令和2年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得した宅地等のうちに、平成30年3月31日において相続又は遺贈があったものとした場合に平成30年改正前の租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロの要件(具体的には次のイ及びロの要件をいいます。以下この(1)において「旧法要件」といいます。)を満たす宅地等に該当することとなる宅地等(以下「経過措置対象宅地等」といいます。)がある場合には、その経過措置対象宅地等については、前表の①3の要件又は旧法要件のいずれかの要件とされています。
 イ 前表の①3(1)から(3)まで及び(6)の要件
 ロ 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者又は取得者の配偶者が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
(2) 令和2年4月1日以後に相続又は遺贈により経過措置対象宅地等を取得した場合において、同年3月31日においてその経過措置対象宅地等の上に存する建物の新築又は増築等の工事が行われており、かつ、その工事の完了前に相続又は遺贈があったときは、その相続税の申告期限までにその建物を自己の居住の用に供したときに限り、その経過措置対象宅地等については前表の①の被相続人の居住の用に供されていた宅地等と、その取得者は、同表の①2の要件を満たす者とみなすこととされています。
 5 「居住制限納税義務者」又は「非居住制限納税義務者」については、7ページの(参考1)を参照してください。
 6 「特別の関係がある一定の法人」とは、次の(1)から(4)に掲げる法人をいいます。
(1) 取得者及び租税特別措置法施行令第40条の2第15項第1号イからヘまでに掲げる者(以下6において「取得者等」といいます。)が法人の発行済株式又は出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除きます。)の総数又は総額((2)及び(3)において「発行済株式総数等」といいます。)の10分の5を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその法人
(2) 取得者等及び(1)に掲げる法人が他の法人の発行済株式総数等の10分の5を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその他の法人
(3) 取得者等並びに(1)及び(2)に掲げる法人が他の法人の発行済株式総数等の10分の5を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその他の法人
(4) 取得者等が理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるものとなっている持分の定めのない法人

(ニ) 貸付事業用宅地等とは

相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業(注1)に限ります。以下「貸付事業Jといいます。)の用に供されていた宅地等(その相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(「3年以内貸付宅地等」といいます。以下同じです。)(注2、3)を除きます。)で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。

貸付事業用宅地等の要件
区分 特例の適用要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 事業承継要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

(注) 1 「準事業」とは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。
 2 相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であっても、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業(貸付事業のうち準事業以外のものをいいます。以下同じです。)ていた被相続人等のその特定貸付事業の用に供された宅地等については、3年以内貸付宅地等に該当しません。
 3 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)附則により、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、平成30年3月31日までに貸付事業の用に供された宅地等については、3年以内貸付宅地等に該当しないものとする経過措置が設けられています。

ロ 日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等

平成19年9月30日以前に被相続人又は被相続人の相続人と旧日本郵政公社との聞の賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するために貸し付けられていた一定の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち、平成19年10月1日から相続の開始の直前までの聞において、その賃貸借契約の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き、平成19年10月1日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局の用に供するため郵便局株式会社に、平成24年10月1日から相続開始の直前までの間にあっては郵便局の用に供するため日本郵便株式会社に対し貸し付けられていた一定の建物(以下「郵便局舎」といいます。)の敷地の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した相続人から相続開始の日以後5年以上その郵便局舎を日本郵便株式会社が引き続き借り受けることにより、その宅地等を同日以後5年以上郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて総務大臣の証明がなされた宅地等については、17ページの(イ)の特定事業用宅地等に該当するものとして、この特例の適用を受けることができます。詳しくは税務署にお尋ねください。

ハ この特例を受けるための手続

この特例の対象となり得る宅地等、「特定計画山林の特例」(21ページ参照)若しくは「特定事業用資産の特例」(22ページ(7)参照)の対象となり得る財産又は「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」(58ページ参照)の対象となり得る宅地等その他一定の財産を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員が同意しており、かつ、原則として相続税の申告期限までに分割されていることが必要です。
 また、相続税の申告書にこの特例の適用を受ける旨その他所定の事項を記載するとともに、107ページ(4)に掲げる書類を添付する必要があります。
 (注) 相続税の申告期限までにこの特例の対象となり得る宅地等が未分割であっても、次のⅰ又はⅱに掲げる場合(「特定計画山林の特例」又は「特定事業用資産の特例」の適用を受けている場合を除きます。)に該当することとなったときは、この特例の適用を受けることができますが、この場合、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出しなければなりません。
 ⅰ 相続税の申告期限後3年以内に財産が分割された場合
 ⅱ 相続税の申告期限後3年を経過する日までに財産の分割ができないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき(税務署長の承認を受けようとする場合には、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に、財産の分割ができないやむを得ない事情の詳細を記載した承認申請書を提出する必要があります。)