相続税の計算の流れ 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所

相続税の計算の流れ

相続税の計算を行う場合、

被相続人の財産(プラスの積極財産)を集約します。ただし、仏壇・仏具や寄附財産など、その財産の性質・政策的見地から課税されない非課税財産は含みません。

土地等から始まり、各相続財産を評価明細書等を使用し、その財産評価を行います。財産評価は、時価を基本としますが、その金額の算定には困難なものもあります。

次に、本来の相続財産ではないが、「みなし相続財産」とされる生命保険金等・退職手当金等(一定額非課税の取扱いがあります)を加算し、相続時精算課税の適用を受ける財産の価額及び3年以内の贈与財産の加算を行います。

みなし相続財産とされる生命保険金等・退職手当金等は、申告書第9表第10表を用い非課税金額の計算を行います。

被相続人の債務控除(消極財産)を控除し、「課税遺産額」を求めることになります。申告書第13表を使用し、消極財産である債務・葬式費用の金額を控除します。

基礎控除額」の控除し、「課税遺産総額」を求めます。基礎控除額の計算は、(平成27年1月1日以後の相続開始分から)3,000万円+600万円×法定相続人の数で求められます。(改正前、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)

この段階で、「課税遺産総額」を法定相続分で按分し、各相続人の法定相続分に応ずる取得金額に税率を乗じ、「相続税の総額の基になる税額」を算出し、相続人分全て集計を行います。この金額が「相続税の総額」となります。

この計算は、申告書第2表を使用し算出することになります。上記、基礎控除額改正と同様に、平成27年1月1日以後の相続開始分から税率が改正されています。

法定相続分に応ずる取得価額 改正前 改正後
税率 控除額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 10%
3,000万円以下 15% 50万円 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 3億円超
50%
4,700万円 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

現行相続税法は、このような計算方式を採っていますが、近い将来変更されるものと思われます。
(昭和33年に、法定相続分課税方式を導入した遺産取得課税方式として採用され、現在に至る。)

この方式では、相続税の調査によるものか相続人自らであるかは別にして、事後的に新たな相続財産が見つかり、その財産を特定の相続人が取得し、取得しない相続人がいる場合でも、その取得しなかった相続人にも、新たな相続税の納税が発生することになります。
これは、相続税の総額が増加することによるはね返りが生じるためであります。まれなケースとして、金額により税額が減少する場合もあり得るかもしれません。

    

相続税の総額」が求められれば、各相続人が取得した実際の取得割合にて、この金額を按分します。(各人の算出税額)

ここから、取得した人により、2割加算が行われたり、「贈与税額控除」や「配偶者の税額軽減額」等の「税額控除」を差し引き、納付税額・還付税額を求めることになります。税率=超過累進税率を乗じ、各人の相続税の総額の基礎となる税額を求めます。
税額控除を控除しますが、相続時精算課税贈与税額控除以外 税額控除>算出税額の場合は差し引きゼロ

相続税額が10万円を超え、かつ、納期限(納付すべき日)までに金銭で納付することを困難とする事由があるときは、年賦で納める延納の制度があります。この場合は、利子税がかかるほか、原則として担保の提供が必要です。また、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があるときは、相続した財産(物納適格財産であるなど一定の要件を満たしたものに限ります。)で納める物納の制度もあります。

いずれの制度も、納期限(納付すべき日)までに必要書類を添えて申請書の提出が必要になります。

相続税については、共同相続人相互間等で連帯納付の義務があります。

税額控除

配偶者控除  配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、1億6,000万円を超えていても、正味の遺産額(配偶者が取得する正味の遺産額のうち隠ぺい又は仮装に係る部分は除かれます。)の法定相続分に応ずる金額までであれば、配偶者には相続税はかかりません。 第5表はこちら
未成年者控除  相続人が未成年者の場合は、20歳に達するまでの年数1年につき6万円が控除されます。 第6表はこちら
障害者控除  相続人が障害者の場合は、70歳に達するまでの年数1年につき6万円(特別障害者の場合は12万円)が控除されます。平成22年4月1日以後相続開始分より85歳 第6表はこちら
暦年課税に係る贈与税額控除  正味の遺産額に加算された「相続開始前3年以内の贈与財産」の価額に対する贈与税額が控除されます。 第4表はこちら
相続時精算課税に係る贈与税額控除  遺産総額に加算された「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」の価額に対する贈与税額が控除されます。なお、控除しきれない金額がある場合には、申告をすることにより還付を受けることができます。 第11の2表はこちら