収用等代替特例について 租税特別措置法第33条

個人の方の有する資産が土地収用法等により収用等された場合に、一定期間内に譲渡資産に応じた代替資産を取得したときは、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」があります。

また、その譲渡益につき収用換地等の場合の所得の「特別控除」の適用を受けることもできます。

ただし、「代替特例」か「特別控除」か、両者は選択適用でありますので、いずれを選択するのかは慎重に判断される必要があると考えます。

この収用代替の制度を適用せず、特別控除を適用する場合のページはこちらから

収用事業等、特例計算の適用を受けるには公共事業の事業施行者から交付を受ける収用証明書など一定の書類の添付を要します。

また、この特例を受けられるのは、資産の譲渡の対価である「対価補償金」であり、他に収受する「移転補償金等」は対象となりません。ただし、一定の補償金について特別な扱いがされるものがあります。

収用等事業の取扱いについては、別頁でも記述しております。

収用等事業の特別控除と特例計算

市街地再開発事業の概要

注)公共事業が施行されることにより収受する補償金には、実に様々な種類があり、取り扱いも複雑であります。取扱いにつき誤りも多く、税負担に影響する場合もありますので、注意が必要です。(下記支払調書も参照ください)

法人税と違い所得税は、所得を10種の所得に区分しているため、収受する補償金等も該当する所得区分に区分し、処理を進めていくことになります。

例えば、対価補償の金額は譲渡所得、移転補償金は一時所得、収益補償金等は事業所得等とはされますが、例外的な取扱いにより、所得区分が変わることもありえます。(紙幅の関係で詳細は割愛させて頂きます)

課税庁に在籍していた当時、所得区分の誤りや支払調書の記載誤り、特例適用要件不備など、多くの是正事例を見てきましたので、特に収用等の課税関係は複雑であると実感しております。


●代替資産となるものの範囲

収用された資産と同種の資産の場合・・・土地と土地等

一組で一つの効用をもつ資産(一組法)の場合・・・店舗用から店舗用等

事業の用に供する資産(事業継続法)の場合・・・事業用建物から減価償却資産等

他の買換え特例に比べ、比較的広く代替資産の範囲は認められています。


公共事業の施行者から収用事業であれば、「収用証明書」などとともに「不動産等の譲受の対価の支払調書」の交付を受けると思われます。

いわゆる「民民売買」では見られない「補償項目」があります。当然それぞれの「補償項目」には算定根拠があり支払われるものであります。

不動産等の譲受の対価の支払調書

(原則的な表示にとどめておりますので、詳細は法令等でお確かめください。)


譲渡所得の計算

譲渡資産の収入金額>買換資産の取得価額 (使い残しの場合)

①譲渡収入金額 42,000,000円 ②取得費 10,000,000円 ③譲渡費用 2,000,000円 ④代替資産の取得価額 30,000,000円の場合で計算を行いますと次のようになります。(国税庁様式 譲渡所得計算明細書 第4面の抜粋)

譲渡所得計算明細書

譲渡資産の収入金額<買換資産の取得価額 及び 譲渡資産の収入金額≦買換資産の取得価額

譲渡所得金額は生じません。

申告の手続

①所得税申告書の特例適用条文欄に「措置法33条」と記載
②申告書とともに「譲渡所得の内訳書」の提出
③「収用証明書」及び取得した代替資産の登記事項証明書などの提出

代替資産の取得は、収用等のあった日から2年以内に取得することを原則としますので、
収用等をされた翌年以降に代替資産を取得する場合は、予定資産等を記した「買換(代替)資産の明細書」の提出を要します。

原則期限の2年以上の取得期限の延長の特例や先行取得の場合にもこの特例が適用される場合があります。

取得価額の引継計算

この代替特例を適用した場合、譲渡所得の金額は、この特例を適用しない場合に比べ圧縮(少なく)することができますが、
 代替資産の取得価額の金額も圧縮計算を行わなければならず、事業所得等の金額の計算上、必要経費である減価償却費が減額となり、長期にわたる納税額の増加及び代替特例を適用した資産を譲渡した場合には、譲渡益の増加となるという側面もあります。

取得資産に係る特別償却や割増償却などの制度も、重複適用することができません。

あくまで課税の繰延制度ですので、慎重に判断される必要があります。
 ちなみに、上記記載例での代替資産の取得価額(引継価額)は、7,500,000円となります。実際の取得価額 3,000万円に比べ圧縮されていますので、何をするにつけ、引継価額がベースとなります。

当事務所では、この引継価額の計算を自動計算で行うエクセルファイルを用意しております。

各特例計算別 引継価額の計算はこちらから

単体での引継価額の計算は(譲渡所得計算明細書)こちらから

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最終更新 平成20年7月

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